河村由美
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2006年5月の紹介作品

追悼 今村昌平監督

2006/5/31

ちょうど1週間くらい前に、「“エロ事師たち”より 人類学入門」というちょっと恥ずかしくなるようなタイトルの作品を観た。1966年の日活映画だ。
”エロ事”に全てを捧げる主人公のスブやんと内縁の妻とその娘とのもつれにもつれた関係を描いている。

今村作品といえば「うなぎ」や「楢山節考」が有名で、もちろんカンヌでパルムをとるくらいだから素晴らしい作品なのだけれど、上記の映画には近年の作品にはない何かを感じた。モノクロ独特の質感も手伝ってか、圧倒的な質量で心にずどんとのっかってくる感じ。ものすごいインパクトなのだ。アートなのかオカルトなのか分からないようなシーンも数々。ストーリーもバカバカしいしね。バカバカしいんだけど可笑しいの。今村映画の源流がしっかりそこにあって、人間の欲望を独特のユーモアとペーソスでもって描いている。ラストシーンなんてもう衝(笑)撃的!!

やっぱこの監督、タダものじゃないなーなんて思っていた矢先・・・昨日の訃報。
慎んでご冥福をお祈りいたします・・・

好きだ、

2006/5/29

☆☆☆☆
監督:石川寛 出演:宮崎あおい、瑛太、永作博美、西島英俊他
高校の同級生ユウとユースケ。お互いに好意を持っているのに「好きだ、」という一言が言えない。そのまま別れ別れになって、17年の時が流れる。
17歳の2人と、再会した34歳の2人・・・果たして、恋の行方は!?


静か〜。
少しの音さえ響いてしまいそうで、怖くて買っておいたコーヒーが飲めなかった!

でも好きだ、なー。こうゆう映画。
「間」があるとね、感じる時間があるのですよ。
私なんて結構ニブイ性質なんで、ゆっくり「間」をとってくれると、
ちゃんと感じることができて、その感覚を熟成させることもできて、良いのです。

さらに。
高校時代の淡い恋心なんてものも、やっぱり想い出してしまって。
ちょっと気持ちがピュアになりましたです。なった、つもりです。ハイ。

ダ・ヴィンチ・コード

2006/5/24

☆☆☆
監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、ジャン・レノ他

はいはい。週末の大混雑の中、観てきましたよー。ホント物凄い混みようで、注目度の高さを実感。

小説を夢中で読んだ人間としては、巧ーくはしょって描いてるな、という感想。
ちゃんとエンタテインメントしてる。

でもね。映画の中で謎解きを楽しみたいのなら、小説未読で行くのがオススメ。
だって、オチを知ってるミステリーってワクワク感がないよ。

反面、全く読んでない人にどこまで理解できるのか???という疑問も。
何せあの小説の情報量ってハンパないんだもの。
本で読んだって1回じゃ理解できないところが(いっぱい)あったのに、
あんなにスピーディーに展開されちゃー、ついてゆけないかも?
だから解説本とか出てるんだろーけどね。

読むべきか、読まざるべきか・・・私の結論。
「上巻だけにしといたら?」

明日の記憶

2006/5/18

☆☆☆
監督:堤幸彦
出演:渡辺謙、樋口可南子、田辺誠一、袴田吉彦、香川照之 他


あー、弱いなーこうゆうの。分かってても、泣いちゃうもの。

渡辺謙さん演じる主人公がアルツハイマー病にかかるお話なんだけど、どうしても謙さん自身の病気のこととか思い出しちゃうもの。

とにかく涙々の映画でした。

カミュなんて知らない

2006/5/17

☆☆☆
監督:柳町光男
出演:柏原収支、吉川ひなの、前田愛 他


静岡シネギャラリーにて鑑賞。今週は「風と共にさりぬ」のデジタルリマスター版も上映していて、どちらを見ようかと迷った。が。時間の都合でこちらに。

大学の映像サークルで映画制作をすることになって・・・という、最初はノスタルジー系青春映画かと思いきや!かなり深層心理をエグられた。

タイトルにある「カミュ」とは、もちろんフランスの文豪アルベール・カミュのこと。

カミュといえば・・・?

そう、「異邦人」。"太陽がまぶしかったから人を殺しました"ってゆう、あの青年のお話ね。

この映画は「異邦人」をめぐる学生たちの解釈なんてものを交えながら、殺人衝動について、そして恋愛について、人間の本質についてなどなどいろんな角度から描いている。学生に交じって、妻に先立たれた教授の老いらくの恋なども描かれていて、途中、一体どこに焦点を定めているのか分からなくなった。しかし、多分、その混沌とした感じを目指したのかな?と、最後は納得。

映画にまつわる小ネタもふんだんに盛り込まれているので、映画好きには別の楽しみ方もできるかも。(ひなのちゃん演じるストーカーっぽい女の子が「アデル」って呼ばれてたり、とかその他たくさん)

ロケに使われた立教大学の蔦のからまる校舎・・・憧れだったなぁ。おっと、やっぱりノスタルジー!?

アンジェラ

2006/5/15

ANGELA.jpg

☆☆

んん!?んんん!!??

リュック・ベッソン6年ぶりの監督作・・・私の期待値が高すぎたのか!?
それとも私が穿った見方をしすぎ!?

スーパーナチュラルな美女・アンジェラと、典型以下のダメ男・アンドレのピュアラブストーリーはそれなりに心動かされるし、パリを美しく撮影しているのも素敵だと思う。でも・・・いろんな映画を切り貼りしたような印象なんだよなぁ。

どうしちゃったの!?リュック!

同じモノクロ作品なら(ちょっと強引な並べ方だけど!)、私は断然「グッドナイト&グッドラック」をおすすめします。

ブロークン・フラワーズ

2006/5/08

bloken flowers2.JPG

☆☆☆☆

男が女に花をプレゼントする時には、やはり何かしらの下心があるのだろう。

しかし。この映画の主人公ドン(ビル・マーレイ)の場合、その“下心”はちょっと変わっている。「実はあなたの息子がもうすぐ19歳になるのよ」ある日突然こんな手紙をもらった、かつてのプレーボーイ(今は中年男!)が、かつての恋人を訪ね歩いて真実を確かめようとする。そのための小道具?が、花束なのだ。

「僕に手紙を送ったかい?」そう尋ねればすむものを、かつてのプレーボーイはナゼだかそれを口にしない。代わりに、“証拠品”となるタイプライターを持ち帰ろうとしたりする。

なんなんだ!?このもどかしさは!!!

だいたい、電話して聞けばすむことじゃないか!!!

そんなことを言うあなたは、この映画の情緒についてゆけないだろう。この、どうしようもなく「たゆたう」感じ。これこそ、ジム・ジャームッシュ監督の真骨頂。

反面、ジャームッシュの新境地だという感じもある。人生振り返っちゃうお年頃なのかなー、とかね。だいたい、テーマカラーが“ピンク”だなんて、ロマンティックすぎるじゃないか!
全部で5人の“元カノ”が登場するのだが、それぞれにプレゼントする花束の内容も違っている。さらにロマンティック〜。
それから、ドンは飲んでるモノとか、着ている服とか、その辺の細かーい演出にもしっかり目を光らせて欲しい。ジャームッシュの映画的“下心”がそこかしこに隠れているから。

徒然映画日記

2006/5/01

『ニュー・シネマ・パラダイス』

「CINEMA SQUARE」の中でミュージシャンに好きな映画を紹介してもらう「心に残るあの一本」というコーナーがあります。毎回、「一本だけ選ぶのは難しい」とゲストの頭を悩ませているのですが・・・個性豊かな映画話が聞けて好きなコーナーです。リスナーの皆さんも、好きなミュージシャンが登場しないか!?と密かに心待ちにしているとか、いないとか。

そんな訳で、ゲストさんに無理やり“一本”を選んでもらってる私ですが、では、私の「心に残る一本」は?と聞かれれば迷うことなく『ニューシネマ・パラダイス』を挙げます。ありがちだと言われようと何だろうと、大好きなのだから仕方ない!

かの淀川長治さんはこの作品を「すりガラスのランプの光のような映画」だと表しました。ほのかな灯りが心を包み、ノスタルジックな感情を呼び起こす・・・なるほど、言いえて妙だ。

実は番組名の「CINEMA SQUARE」は、この作品に出てくる広場をイメージして付けたもの。

私の一番好きなシーンは、映画館に入りきれないお客さんのために映画技師のアルフレッドが広場の壁に映画を映し出すシーンなのだけれど、あの観客たちのようにラジオを通して映画を楽しんでもらいたいと思っています。そしてあの時のトト少年のようにキラキラした笑顔になってくれたら最高なのです☆

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